男女で違う香りの好み
一般に「香り」というと、どんなものが想起できるでしょうか。
男性であれば、女性の香水や石鹸の香り、中には洗いたての髪の香りをイメージされるかもしれませんね。一方で女性であれば、異性の香りをイメージすることは少ないでしょう。
女性が好きな香りは、例えば、ハーブ系石鹸の香り、ハーブティーを淹れたての香り、アロマテラピーなどでつかうエッセンシャルオイルの香りをイメージされるでしょう。
このように、男女ともに社会では香りを嗅ぐ機会は本当に多くあります。食品では緑茶、新芽の香り、ほうじ茶、花の香りなど、日本文化には香りの文化が生きづいているとも言えましょう。
世の中には多様な香りがありますが、どんな香りが好みなのか?は個々の嗜好や経験からも異なるものです。
できれば誰もができるだけ自然の香りを嗅ぎたいという要求がありますし、心身の健康のためにも自然の香りはこのましいものです。
具体的に誰もが好む香りは自然の草木の香りです。香りは経験や情動とも結びやすくなっており、大多数がこのましい香りという場合でも、ある人にはとてもいかがわしい香りだと感じる場合もあるのです。
香りは、良い影響を及ぼしてくれるものという理想があります。
ところが、女性が好む香りと男性が好む香りには大きな差があるとも言われています。
例えば、香りといえば、アロマテラピーですが、アロマテラピーはリラクゼーションサロンやエステサロンにおいて、老若男女ともに大変好まれています。そもそも、アロマテラピーは欧米文化の流入がもたらしたものですが、日本では愛好家を中心として活動されて随分になります。
男女では好みの香りが違うという話に戻りましょう。
具体的にアロマテラピーにおいて一例を示すと、女性はラベンダーのような甘く優しいフローラル系の香りを好む傾向があります。
女性が好む香りはラベンダー、ペパーミント、柑橘系のレモン、レモングラス、マジョラムなど、ローズマリーなども人気です。
一方男性は、ローズウッドのようなウッディ系の香りを好みます。ローズウッドは木から精油を抽出したものであからさまなウッディ系とは違いますが、精油を扱う人の間ではローズウッドは中世的で男性的な香りであるとも言われています。
このように、ローズウッドは特にアロマテラピー愛好家には女性よりも男性向けの香りで知られています。
男女でもこのましい香りには差があるということなのです。
みんなが大好きなアロマテラピーのメカニズム
そもそも、アロマテラピーとはどのようなものであるのか?ということからご紹介します。アロマテラピーの起源は日本ではなく、イギリス、フランス、ドイツという欧米各国が先駆けとなります。このような諸外国を海外と称しますが、アロマテラピーは医療としての面とリラクゼーションとしての普及の面があります。
・フランスのアロマテラピーは医療としてのアロマテラピーです。
・英国のアロマテラピーはリラクゼーション目的です。
・ドイツのアロマテラピーは自然療法です。
アロマテラピーという表現は、アロマ(aroma)とは自然の良い香りとテラピー治療法を加えた造語です。アロマテラピーは芳香療法と翻訳されています。
芳香療法とは、動物性、人工物、化学合成品を除き、100パーセント天然自然のエッセンシャルオイルに限られています。
その目的は、リラクゼーションで香りを楽しむこと、心身の恒常性の維持などを担うためのもので、ホリスティックな観点から美と健康を増進させる目的の自然療法になります。日本においての立ち位置は、医療としてではなく、リラクゼーション目的でエステサロンやリラクゼーションサロンで普及しています。
その目的は、植物の薬理作用を利用した精油成分を利用して、リラクゼーションをはかることです。
精油をキャリアオイルという植物性オイルに浸透させて身体にトリートメントしたり、芳香浴などで香りを楽しみます。
では、精油成分の香りは私たち人の脳にどのようにアプローチしてくるのか?という点が気になると思います。
香りを嗅いでから、心地よく感じるメカニズムをまとめましたのでご紹介します。
・精油成分とはどんなものか?
さまざまな植物から多様な方法を使って植物エッセンスを抽出したエッセンスのことを精油または、エッセンシャルオイルとも称されています。
抽出されたエキスをここでは短く精油と表現しますが、精油の中の成分にはさまざまな化学物質も含まれているのです。
例えば、お料理やお菓子に使われているペパーミントは実に有名なハーブです。ペパーミントはシソ科の植物で、葉の部位をお料理やお菓子、ハーブティー、そして精油にします。ペパーミントの精油成分はメントール、フラボノイド、カロチノイド、アズレン。。という化学成分が含有されているのです。ペパーミントの香りは心身をリフレッシュさせることが期待できるという意味でさまざまな加工物にも使われます。
こうした、各々の植物にある精油成分は薬品ではありませんから、お薬のように「消化不良に効く」、「食欲不振に効果的」というような表現や広告は薬事法で禁じられています。でも、ハーブティーなどでは、食品として消化不良ならペパーミントがいいよ。という表現はよく普及しているようです。日本の法律では精油は雑貨扱いになるので、全て自己責任のもとで取り扱いが推奨されています。
まとめると、精油成分には化学成分が含有されており香りはこの化学成分のものです。精油の化学成分には薬理作用があるために、さまざまなシチュエーションで大変に重宝されています。あくまでも古い言葉を用いたら、香りを楽しみことを含めて現代でも民間療法のような扱われ方であると言えましょう。
今の日本の法律内で精油はどんな使いかたがあるのか?
化学成分が含まれている精油ですが、リラクゼーションサロンでトリートメントとして塗布する他、愛好家には以下の用途で用いられています。
・アロマポットに数滴精油を垂らして芳香浴を楽しむ
雑貨店でアロマポットが取り扱われています。電気コンセントを用いたポットに精油を数滴垂らしておくと、ほのかに精油の成分が空気中に漂います。
部屋中に漂う良い香りを嗅ぐことで、リフレッシュをはかることができるという楽しみ方になります。最近は歯科医院などの受付でも、患者さんの気分転換のために利用されているクリニックも増えています。
・バスタイムにお湯に数滴垂らして楽しむ
自宅のお風呂で簡単に取り組むことが可能な芳香浴です。足浴、手浴などもあります。植物から抽出した精油がない時には、植物のハーブを煮出したエキスをお湯に混ぜて使うことも可能です。すぐに空気中に揮発してしまいますが、お湯の湯気とともに良い香りが立ち込めます。
・石鹸や入浴剤、練り香をハンドメイドして楽しむ
精油は練り香などを作るときの材料にもなります。練り香とは、精油の香りが残るクリーム状の香水のことです。精油のブレンドで作ると強い香りが楽しめます。
・化粧水などのローションとして楽しむ
女性であればローションの材料として精油を使う方法があります。エッセンシャルウオーターよりも精油成分の方が香りが強くなります。
ペパーミントなどの殺菌作用、消臭作用がある精油を用いてお掃除用のスプレーを作ることも可能です。
ざっとみた限りでも、日本の生活習慣の中で利用できる方法は以上のような楽しみ方があります。濃度の調節は各自で判断すると、濃度の濃い香りの強いものを作ることも可能です。また、精油はブレンドして、さまざまな香りを新たに作ることもできます。
具体的には、柑橘系同士でブレンドすると似たような香りができますし、柑橘系とフローラル系、ウッディ系というように好きなジャンルをブレンドするとより強い香りが出来上がります。
禁止されたブレンドはあまりなく、過剰に利用しない限りは自由です。アロマテラピーや精油の扱い方に関するバイブル本もたくさん出版されていますから、各自でテキストを参考にしながら勉強してみることも楽しみになります。
これまでは、自然な香りといえばアロマテラピーがあるという話でした。では人が香りを嗅ぐことによる反応をまとめました。
香りが脳に伝わるメカニズムはどうなっているのか?
どのような楽しみ方にしても、香りはあるメカニズムを通じて、人の大脳へ届くようにできています。以下は人間の脳が香りを認知してから反応するまでのプロセスを書いたものです。
精油中の芳香分子は人の鼻にある「臭上皮」から臭細胞へと伝わってゆきます。
臭細胞で電気信号へと変換がなされてから、大脳辺緑系へと伝達されていくのです。臭覚の特徴は大脳辺緑系へとダイレクトに通じていることです。
視床下部の脳下垂体へと伝達されます。
脳下垂体は「自律神経システム、内分泌システム(ホルモン分泌)、免疫システム、」を統括する機能になりますから、香り成分が自律神経や内分泌システム、免疫システムに届いて、心と体に変化をもたらすことにつながるという仕組みになります。
ペパーミントを例にすると、ストレスが蓄積されているときミントの香りをかいだりします。ミントの香りはメントールなどですが、中枢神経の機能亢進にアプローチすると言われています。
もしも、精油で芳香浴やオイルトリートメントを楽しんだあとに、心身に変化が起きたように感じたら、今説明の通りにあるように、大脳辺緑系へ直接アプローチされてから、脳下垂体を通じて心身へ伝達されたというシステムが動いていることになります。
まとめ
男女で異なる香りの好み、アロマテラピーについてのこと、アロマテラピーの楽しみ方を日本の法律を通じてご紹介しました。最後にアロマテラピーを例にして香りが人にもたらす仕組みをまとめましたが、精油に限らずあらゆる香りにも通じるシステムになります。人の体は聴覚や触覚よりも臭覚が最もダイレクトに大脳へ通じているということなのです。