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喘息と戦う精油7選~アロマセラピー

喘息と戦う精油7選~アロマセラピー

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■喘息とは?

アレルギー反応や刺激物、運動・疲れ・ストレス・気候や環境の変化・タバコの煙・風邪などが原因で、気道~肺に炎症が起こって気道が腫れて細くなり、息がしづらくなる慢性疾患のひとつです。

その症状は、咳・痰・喘鳴(ぜんめい。呼吸時にヒューヒューゼーゼーと出る音)、息切れ・息苦しさ・鎖骨の下あたりや背中が固くなるなどが挙げられます。

 

■アロマセラピーを始めるにあたって

喘息発作を予防するには、医療機関で定期的に治療を受けることが第一で、アロマセラピーはあくまでも補助的な治療手段です。医学が驚異的に発展した現代、日本人の寿命は大幅に長くなりました。治療方法を初め、薬剤・医療機器が多岐に亘るため、私たちの選択肢も日々増え続けています。

症状は軽くとも服薬・吸入期間が長くなれば、人間が開発した医薬品ではなく、薬草などなるべく自然の物で治療したくなるでしょう。そんなとき、アロマセラピーが功を奏してくれるかもしれません。

精油(エッセンシャルオイル)の匂いを嗅ぐと、鼻の粘膜から有効成分が吸収され、血管やリンパ管を通って体内をめぐり、さまざまな組織に働きかけます。気道から肺に入り、痰を切る・せきを鎮める作用を持つ精油もあります。体内に入った成分はほとんどの場合、肝臓で数回分解されたあと、腎臓でろ過され、尿に交じって排出されます。これら一連が、精油の薬理作用です。

アロマセラピーで、喘息が劇的に回復・完治することは、まずありません。それでも、自然の恵みで、しかも手軽にできて、症状が緩和するならやってみたい、と思う人は多いでしょう。アロマセラピーに使う精油(エッセンシャルオイルともいいます)は、植物から抽出されます。1本の花や樹木からわずかな量しか採れない、植物の命を凝縮した稀少な芳香成分・有機化合物です。罹患者の気持ちを香りで楽にして、その喉を開き、発作につながる炎症を抑えてくれれば、ステロイド剤の吸入回数は減るでしょう。

この記事の後半に、アロマセラピーを行うにあたっての最低限の注意事項を記しています。それらを踏まえ、医師にも相談したうえで、アロマセラピーを始めてください。

 

■精油の使い方

家庭で手軽にできる、下記6つの方法をご紹介します。

芳香浴,沐浴,蒸気吸入,湿布吸入,皮膚への塗布とマッサージ

 

芳香浴A

希釈した(薄めた)精油を室内に噴霧すると、拡散した有効成分が室内の空気を清浄します。

【必要なもの】

・無水エタノール(ドラッグストアで購入できます)
・ミネラルウォーターまたは精製水・蒸留水
・噴霧器/霧吹き
・精油

【ルームフレッシュナーの作り方】

無水エタノール1に対して、ミネラルウォーター/精製水9の割合で作った液体に、精油を数滴(液が全部で100mlなら、精油は0.5mlほど)を、スプレー容器に入れてよく振り混ぜます。水道水は使わないでください。塩素が含まれています。

ルームフレッシュナーを室内に噴霧すれば、拡散して空気を浄化するだけでなく、香りも楽しめます。ただし、人に向けて噴霧しないでください。特に喘息をもっている人は、刺激が強すぎて発作を引き起こすかもしれません。まずは鋭い匂いではない、ラベンダー、カモミール、乳香(フランキンセンス)などで試すことをお勧めします。ユーカリやタイムなど刺激の強い精油を、精製水/ミネラルウォーターで希釈するときは、人肌くらいの温度にして使うと、より効果的です。

◆芳香浴B

一番簡単な方法です。ハンカチやティッシュペーパーなどに精油を直接1~2滴落とし、それで鼻口を覆って呼吸します。自分の好み・体質に合った精油がみつかれば、マスクに1~2滴しみ込ませて着用するのも、手段のひとつです。

◆沐浴

精油を混ぜたソルトを、入浴剤として使います。湯舟の蒸気と相まって、香りが症状を和らげてくれるでしょう。洗面器やバケツを利用した、足浴・手浴でも効果が期待できます。

【必要なもの】

・天然の塩(海水から採った塩をお勧めします。ヒマラヤンソルトほか岩塩は、硫黄など不要な成分を多く含んでいるので、避けるほうが無難です)。

・精油

【入浴剤の作り方】

天然塩大さじ1杯に対して、お好みに応じて精油を1~5滴加え、充分に混ぜます。湯の量が多い分、複数の精油をブレンドしできます。精油の量は、湯の量/お好みに応じて調整してださい。

◆蒸気吸入

洗面器などの容器に熱湯入れて、数滴の精油を加え、その蒸気を吸い込みます。

【必要なもの】

・熱湯を入れた容器
・精油

◆湿布吸入

【必要なもの】

・洗面器
・タオル

【手順】

1.洗面器にお湯を注ぎ、精油を1~3滴入れます。

2.タオルをその中に浸して精油を含ませ、よく絞ります。

3.それを鼻と口を覆うように広げ、布が冷たくなるまでゆっくりと呼吸をしましょう。必要に応じて、 数回行ってください。

 

◆皮膚への塗布とマッサージ

胸部や背中・肩首など、咳・呼吸のせいで固くなっている部分に、トリートメントオイルをすり込んでマッサージします。皮膚からの吸収のみならず、体温で蒸散した芳香成分が、呼吸とともに気道~肺に入ります。有効成分が皮膚から内部に吸収されるまで20~30分待ったあと、タオルで優しく拭き取ります。ベタつきが気になる人は、塗布した部分をお湯で洗い流してください。

【必要なもの】

キャリアオイル(任意の量)
※キャリアオイルとは、精油をマッサージオイルとして使うときに、薄めるためのオイルを指します。

 

基本的に植物油で、アロマセラピーで使えるものは数種類あります。知名度の高いキャリアオイルは、アーモンド,ホホバ,ココナッツ,オリーブなどです。アロマセラピーのショップで入手できます。

 

◆トリートメントオイル

精油をキャリアオイルで薄めた(希釈した)ものが、トリートメントオイルです。(精油+キャリアオイル=トリートメントオイル)

清潔なガラス瓶または陶器の容器に、お好みのキャリアオイルと正確な量の精油を混ぜ合わせれば出来上がりです。ほとんどの精油は濃度が高すぎて、皮膚に直接塗ると危険です。かゆみや炎症・腫れを引き起こす可能性があります。必ずキャリアオイルで薄めてください。もしかゆみや炎症が生じたら、医師に相談しましょう。

キャリアオイルと精油の比率は、基本的に植物油100対精油1、つまり濃度は1%と、ごく少量で充分です。大抵の精油は1滴が0.05mlですが、不明な場合は、購入時にお店の人に確認するとよいでしょう。

例: キャリアオイル80mlなら、精油の量は0.8ml=80ml×0.01(1%)

複数の精油を同時に使うときは、「複数の精油を合わせて全体の1%」ということに気をつけてください。

トリートメントオイルが一度に使いきれないときは、遮光瓶に入れて冷暗所で保管し、できるだけ早く使い切ってください。ポリプロピレン容器が入手しやすいですが、より安全を求めるなら、瓶(光を通しにくい茶色などの遮光瓶)または陶器が理想的です。精油は植物の命を凝縮した貴重なもので、決して安価とは言えません。大切に使いましょう。

 

■効果が期待できる精油7選

喘息に有効といわれる精油の種類はたくさんあります。そのなかから、比較的有名で入手しやすいものを、厳選して7種類ご紹介します。前述のとおり、精油は使ってすぐに効果が得られるとは限りません。焦らずに好みの匂いと、ご自身の体質に最適な精油をみつけてください。

◆ラベンダー

抗炎症と消炎作用を併せ持つラベンダーオイルは、気道の炎症を和らげてくれるでしょう。鎮静作用もあるので、緊張したときに発作がでやすい体質の方にお勧めします。咳で固まりがちな筋肉を緩めてくれる効能もあります。

【お勧めの施術方法】

芳香浴A/B,沐浴,蒸気吸入,湿布吸入,胸部・背中への塗布とマッサージ
キャリアオイルはホホバをお勧めします。

◆カモミール

痰を取り除く効能のほか、抗炎症・消炎作用があるので、気管支の炎症と咳を鎮め、免疫力に働きかけてくれる作用があります。免疫力が上がれば、アレルゲンへの過剰反応が和らぐでしょう。

【お勧めの施術方法】

芳香浴A/B,沐浴,蒸気吸入,湿布吸入,胸部・背中への塗布とマッサージ

カモミールはハーブティーとしても人気があり、簡単に手に入ります。温かいうちに飲むと、効果が期待できます。

◆乳香(にゅうこう)

気道の炎症を抑えるだけでなく、痰を切り、アレルギー反応の緩和、胸部と背中の筋肉のこわばりも和らげる作用があります。

【お勧めの施術方法】

芳香浴A/B,沐浴,蒸気吸入,湿布,胸部・背中への塗布とマッサージ
ココナッツオイルと相性が良いです。

◆ペパーミント

知らない人は、いないのでは?というくらい有名な植物です。ペパーミントは喘息患者に必要な効能を、たくさん併せ持ちます。充血を鎮める、抗痙攣・抗炎症作用のほか、清涼感が喉と気道の通りを改善し、症状の悪化を鎮める力を秘めています。さらにはヒスタミンの放出を抑制する作用もあります。ヒスタミンは、アレルギー反応が起こったときに体内で生成される、炎症を引き起こす生理活性物質です。

【お勧めの施術方法】

芳香浴A/B,蒸気吸入,湿布吸入,胸部・背中への塗布とマッサージ

◆ティーツリー

鋭い匂いを放つティーツリーは、強い抗炎症・抗菌滅菌・消炎作用があります。喘息発作の原因となるものが体内に入ると、反射的に喉に痰が絡み、気道に炎症が起こりますが、これを抑えてくれる効果が高い精油のひとつです。免疫力を上げる作用もあります。

【お勧めの施術方法】

芳香浴A,蒸気吸入,湿布吸入

※香りが強いため、発作を誘発する可能性と覚醒作用があります。芳香浴Aから試すのがよいでしょう。就寝前の使用はお勧めしません。

◆ユーカリ

遠くからでも匂うスッキリした香り・殺菌作用・抗炎症・消炎・鎮痛作用が、気道の炎症を和らげ、呼吸を楽にし、さらには固まった胸郭や背中の筋肉をほぐしてくれるでしょう。ユーカリが持つユーカリプトール(シネオールとも呼ばれる)という成分には、痰を切る効能があります。

【お勧めの施術方法】

芳香浴A,蒸気吸入,湿布吸入,胸部・背中への塗布とマッサージ

※香りが強いため、発作を誘発する可能性と覚醒作用があります。芳香浴Aまたは湿布吸入から試すのがよいでしょう。就寝前の使用はお勧めしません。

◆タイム

喘息疾患で一番苦痛なのは、痰が絡んで呼吸ができない症状でしょう。タイムが持つ大きな特性は、痰を取り去って免疫力を向上させることです。タイムの強い匂いが発作につながる人もいれば、逆に気道がすっきりする人もいるでしょう。タイムはティーツリー、ユーカリに似た作用を持つ植物です。単独より、他の精油やキャリアオイルと組み合わせて使うのがよいでしょう。

【お勧めの施術方法】

芳香浴A,蒸気吸入,湿布吸入

※香りが強いため、発作を誘発する可能性と覚醒作用があります。芳香浴Aまたは湿布吸入から試すのがよいでしょう。就寝前の使用はお勧めしません。

 

■精油を使うにあたっての注意事項

日本では、アロマセラピーは医療行為とはみなされていません。代替/補助的治療と呼ばれることがあっても、すべては自己責任です。乳幼児や妊娠中の女性は、アロマセラピーを避けてください。慢性疾患・通院中の方も、医師にまず相談することが肝要です。

喘息を和らげるといわれる精油の中には、強い匂いを放つ・揮発するものがある、嗅覚が鋭い患者さんには、精油の匂いが逆に発作を誘発する可能性もあるということを念頭に置いてください。アロマセラピーは精油の正しい使用方法について学んでから、慎重に始めてください。

皮膚や粘膜を刺激して、かぶれや荒れを引き起こすこともあります。皮膚に塗布するときは、精製水かミネラルウォーターで薄めたものを宙に噴霧して、吸い込んでも害がないか確認してください。肌に塗る(マッサージ)ことを前提にしているときは、事前にパッチテストをしましょう。

【パッチテストの方法】

トリートメントオイルを、皮膚の柔らかい部分(腕や足の内側など)に、1センチ四方程度の範囲に塗って24時間様子をみます。その間にかゆみや炎症がでたら、すぐに水で洗い流してください。治まらないときは、迷わず皮膚科を受診しましょう。

太陽の光(紫外線)にあたると毒性を持つ(光毒性)精油にも気をつけてください。オレンジやグレープフルーツなどお馴染みの柑橘類の精油が、これに該当します。このほか、ホルモンバランスをかく乱する精油もあります。

リラックス効果が強すぎる精油も、副交感神経を優位(緊張が解けた状態)にするため、気道が狭くなって発作を招く可能性があります。リラックスできれば呼吸が楽になる人もいるので、一概には否定も肯定もできません。

精油の構成成分の一部にアレルギーを持つ人もいます。

「アロマオイル(合成芳香剤)」という、合成物を混入して作られた、紛らわしいものが市販されています。香りを楽しむためだけであれば安価ですので、それでもよいかもしれません。ですが、疾患の症状緩和のために使うなら、100%天然成分の「精油」を選んでください。

昨今、スメルハラスメントという言葉が登場した背景には、人工的な匂いは、健康な人にですら、頭痛や吐き気をもたらす事実があります。アロマセラピーついての知識が少ない方は、信頼できるショップやメーカーの店員さんに相談して購入するのがよいでしょう。

正式な医療行為ではないアロマセラピーですが、喘息患者の中には精油が症状を和らぐ人もいます。精油の一滴が、呼吸困難から救ってくれるかもしれません。たとえ症状が変わらなくても、小さな瓶に詰まった精油を持ち歩くだけで、安心材料になる人もいます。注意事項を一通り学んだら、試して損はないでしょう。

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