フレグランスハラスメントとは
最近耳にする機会が多くなった「フレグランスハラスメント」をご存知ですか。
フレグランスハラスメントとは、香水や柔軟剤のつけすぎによって起こる香りの暴力のことを指しています。
同じような言葉でスメルハラスメントという言い方もあります。
スメルハラスメントになると、香水や柔軟剤だけでなく、体臭や口臭などさまざまな香りを広くイメージさせる言い方になるようです。
香りとは個人の好みが大きく作用する感覚です。
また普段意識しにくい感覚であるがゆえに、つい自分主体の香りの使い方で、気づかないうちに周囲に迷惑をかけてしまう可能性があります。
日本では乾燥しがちな欧米とは違い、湿気があるため香りを感じやすいといわれています。
海外と日本では、適度な香りの強さも違うということになります。
最近では海外からの観光客も増え、香水の香りに鈍感になっていませんか。
身だしなみと思ってつけていた香りが強すぎて、裏目に出てしまうこともあるかもしれません。
そういったフレグランスによる摩擦が起きないために、どういったことに注意していけばいいのか考えてみましょう。
必要以上の香りをつけない
フレグランスハラスメントの一番の原因は香水や柔軟剤、ヘアスプレーなどによっておこります。
柔軟剤は、香りが長続きするものや、香りが強いものが販売されるようになったことも大きな要因です。
職場などの狭い場所で長時間過ごす場合、その香りがかえって害になることも考えられます。
特にダメージが大きいのは、合成香料の科学的な香りが、敏感な人にとっては頭痛や吐き気などの体調不良を起こさせる例です。
このようなケースを避けるために、まずは香りのつけすぎに注意する必要があるでしょう。
柔軟剤や洗濯洗剤であれば、再度量をしっかり確認して使いましょう。
目分量でいつの間にか多すぎる量を使っていませんか。
また柔軟剤に香りの強いものを使っている場合は、洗剤には香りの控えめなブランドを使用するなどのバランスも考えるとよいでしょう。
香水の場合はどうでしょうか。
普段直接体に香水をつけている人は、もう少し軽いつけ方を考えてみましょう。
香水を無水エタノールで希釈し、スプレーボトルに入れ替えます。
出かける前にスプレーをして、そのミストをくぐり抜けるようなやり方で香りをつけてみましょう。
ふんわり柔らかい香りのまとい方ができるでしょう。
匂い袋を活用する
次に、柔軟剤や香水などの化学製品を使わないフレグランス対策を考えてみます。
特に香水は化学香料が主な原料になっているため、苦手な人にとっては不快で体調不良を引き起こす可能性もあります。
そうはいっても、香りで自分を演出したい、身だしなみを整えたいという思いをあきらめる必要はありません。
いろいろな香りグッズを活用して、周囲にやさしい香りを楽しみましょう。
まずおすすめしたい香りは匂い袋です。
柔軟剤の代わりに衣服に香りをつけて楽しむことができます。
使い方も簡単で、普段衣服をしまっているタンスや衣装ケースの中に忍ばせておくだけです。
香りが少なくなったと感じたら新しい匂い袋と取り替えます。
匂い袋にも種類があり、お香の専門店などに行くといろいろな香りが楽しめます。
衣服に使うもので一般的なものは防虫香という虫よけになるタイプです。
こちらはたんすに入れておくと、その香りが虫よけになるお香です。
しかし虫よけをメインとしているので、ややお線香っぽい匂いに感じてしまう方もいるかもしれません。
そんな方は、防虫香ではない匂い袋を使いましょう。
メーカーによって違いますが、華やかな香りからウッディなものまで好みの香りを探すとよいでしょう。
アロマテラピーを活用する
フレグランス対策にアロマテラピーを活用してみましょう。
アロマテラピーに使う精油は、植物由来の自然な香りです。
精油を購入するときは混ぜ物のない、100%植物由来のピュアな精油を選びます。
アロマテラピーで香りを演出する方法はたくさんあるので、自分に合ったやり方で実践してみましょう。
スプレーを使ってオリジナルフレグランスを楽しもう
香水のときにご紹介したようなフレグランススプレーを、精油を使って作ります。
体につけても問題のない濃度にしておけば、肌に直接スプレーできるようになります。
また、香水のように強い匂いにはなりにくいため、気になったときは使いすぎを気にせず何度でも使える点もおすすめです。
作り方は簡単です。
・無水エタノール(またはアルコール97%以上のスピリッツ)5ml
・精製水 45ml
・精油(お好みで)5滴
これらの材料を良く混ぜれば完成です。
保存性があるのはアルコールだけになるため、1~2週間以内に使いきるようにしましょう。
香りはお好みですが、かんきつ系などの軽い香りをメインに使うと揮発しやすくなります。
そのため周囲に重く残らずハラスメント対策の香りにはおすすめです。
ボディオイルで香りを楽しもう
精油を使ってボディオイルを作ります。
アロマの専門店などでは、ロール状になって塗ることができるボトルも販売されているので便利です。
自分だけのオリジナルフレグランスを、気になったときにさっと塗ることで香りを楽しむことができます。
キャリアオイル50mlに対し、お好みの精油を5滴混ぜれば完成です。
オレンジスイートやレモンなどのかんきつ系の香りは、紫外線に当たると肌の炎症を起こす恐れがあるのでボディオイルには不向きです。
ラベンダーやゼラニウムなどのフローラルな香りや、ティートリーやジュニパー、サイプレスなどのさっぱりした香りがおすすめです。
アロマで柔軟剤を手作りする
柔軟剤の代わりにアロマを使ったフレグランスグッズを作ってみましょう。
使う材料は以下のものです。
柔軟剤を入れるボトル
・水 200ml
・グリセリン 大さじ2
・クエン酸 18㎎
・精油 15~18滴
これらの材料をしっかりと混ぜて、柔軟剤と同じように洗濯時に使いましょう。
クエン酸やグリセリンはお近くの薬局で購入できる一般的なもので大丈夫です。
精油に殺菌作用のあるペパーミントやティートリー、レモンなどを使うと部屋干しのにおい対策にもなりおすすめです。
オリジナルの匂い袋で対策する
先にお香を使った匂い袋で香りをつける方法をご紹介しました。
同じような使い方ができる匂い袋を、精油を使って手作りすることも可能です。
いらなくなったハギレを集めてきます。
やぶれた靴下やストッキングにハギレを詰めて、精油を垂らし香りを移せば完成です。
香りが減ったと思ったら、また精油を垂らし香りをプラスしてあげましょう。
精油の量の目安は、だいたい5滴くらいです。
フレグランスハラスメントのもとを断つアロマ活用術
ここまで、いろいろな香りの活用でフレグランスハラスメントの対策をご紹介していました。
そもそも、それだけ香りをまといたいという心理の原因は何でしょうか。
その原因は自分の体臭が人に悪影響を及ぼさないようにという気づかいであることが大半です。
そこで強い香りをまとわなくても、自分の体臭に自信が持てる香り活用法をご紹介します。
足のにおい対策
暑い時期に気になる足のにおいにもアロマテラピーが有効です。
使う精油はティートリーやユーカリラディアタ、ペパーミントなどの殺菌作用があるものを選びます。
湯おけにお湯をはったら、お酢を大さじ2~3杯混ぜておきます。
重曹大さじ1杯に精油を1~2滴混ぜ、湯おけのお湯に混ぜます。
このお湯で5分程度足湯をし、しっかり足を洗いましょう。
酢や精油の殺菌作用と、重曹の消臭効果で、足のにおいが気にならなくなります。
アロマで口臭対策
口臭対策にもアロマテラピーが活用できます。
オリジナルのマウスウォッシュを作って持ち歩けば、職場などでも簡単に対策が可能です。
・無水エタノール(またはアルコール97%以上のスピリッツ)10ml
・精製水 85ml
・グリセリン 5ml
・精油 10滴程度
材料を全て混ぜれば完成です。
ペパーミントやローズマリー、レモンなどの香りがおすすめです。
決して飲み込まないように注意しましょう。
精油の殺菌作用を利用する
先にご紹介したフレグランススプレーやボディオイルも、体臭予防に効果的です。
汗の嫌なにおいのもとは雑菌です。
汗をかいた後、その汗の栄養分に雑菌が繁殖することで不快なにおいが発生します。
そのため、においのもととなる雑菌の繁殖を抑えることができれば体臭予防につながります。
そこでフレグランススプレーや、ボディオイルを作るとき殺菌作用が強い精油を選びましょう。
精油の殺菌作用がにおいのもととなる雑菌を抑え、体臭が嫌な臭いになることを防いでくれるでしょう。
フレグランスハラスメントで気をつけたい注意点は、当事者が気づきにくいというところにあります。
職場の同僚同士、あるいは家族同士で日ごろからチェックしあうとよいでしょう。
家族であれば、一緒に香りを作ることで楽しく対策をすることができます。
身近な人にフレグランスハラスメントをさせないためにも、日常のスタイルの中でアロマを活用してみてはいかがでしょうか。
フレグランスハラスメント対策におすすめの精油
ここまで、精油を使ったフレグランス対策をご紹介してきました。
次は、どんな場面でどんな精油を選べばいいかをご紹介します。
まず汗のにおいなど自分の体臭を押さえたいときは、殺菌作用の強い精油をおすすめします。
ティートリーやペパーミント、レモン、ユーカリラディアタ、サイプレスなどを利用するとよいでしょう。
また緊張で汗をかきやすいという方はリラックス作用のあるラベンダーやマジョラム、スイートオレンジなどもブレンドしてみましょう。
女性らしい香りを演出したいときは、フローラルな香りがおすすめです。
ゼラニウムやローズウッド、イランイラン、ラベンダー、ネロリなど花の香りが女性らしさを与えてくれるでしょう。
また、香りの効果を持続させたいという場合は、揮発しにくい精油を一緒にブレンドします。
トップノートとしてはフローラルや柑橘といったさわやかな香りが向いていますが、あとにも残るベースの香りには少し重たい感じの香りを使います。
サンダルウッドやパチュリ、プチグレン、フランキンセンス、シダーウッドなどがおすすめです。
広く万人受けしやすい香りや、性別に関係なくつけやすい香りにしたいときはかんきつ系の香りがおすすめです。
特に日本人は古くからみかんやゆずの香りに親しんできているため、かんきつ系の香りをかぐと親しみを感じる人が多い傾向にあります。
甘さを出したいときはベルガモットやスイートオレンジを、さっぱりきりっとした香りがよい人はレモンやライムなどを使って変化をつけることができます。
自然な香りでセルフマネジメントしよう
フレグランスハラスメントという言葉の影響で、香りを楽しむことに罪悪感をもつようになってしまっていませんか。
香りは自分を演出し、またおしゃれを楽しむ大切な要素です。
過剰な臭いはときに周囲に不快な想いをさせることもありますが、対策をしていけば、香りは自分の印象を高めてくれます。
特に、精油を使った対策は科学的な香りを使わず、自分の気持ちも前向きに作用するためおすすめです。
自分だけのオリジナルフレグランスを使うことで、単なる匂い消しではなく自分を表現する手段としても有効です。
ハラスメントという言葉に委縮せず、より自分で積極的に香りを使いこなしてみれば、あなただけのスタイルをマネジメントすることにつながるでしょう。