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香りで健康をデザインする

香りで健康をデザインする

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香りを意識したことはありますか?

 普段何気なく感じ取っている「香り」「匂い」について、どれくらい意識していますか?

ごちそうを前に香りを感じてみたり、人ゴミで感じる体臭に悩んでみたり、いろいろな場面で話題に上るけれど、嗅覚についてそれほど意識する機会が少ないのではないでしょうか。

実は、香りは私たち人間の体に大きな影響を与えています。それによって、私たち自身の体調や健康にかかわることもたくさんあります。

今回は、そういった香りと健康について考えてみましょう。

 

香りと体の関係とは?

 香りが体に働きかける仕組みを見てみましょう。

香り成分は鼻から脳へ届けられます。空気中にある芳香成分が鼻の奥にある嗅覚細胞の受け皿と結合すると、これが刺激となって電気信号として脳へ伝えられます。

この電気信号は、脳の中でも「大脳辺縁系」と呼ばれる部分に伝わります。大脳辺縁系は、「古い脳」とも言われ、記憶や感情をつかさどる海馬や扁桃体などがあります。

さらに、そのそばには血管や内臓の働きを調節する自律神経やホルモンの分泌にかかわる内分泌系といった働きをする視床下部があります。私たちが普段過ごしていく中で血液の流れやホルモンの働きについて意識し、調節することは難しいでしょう。

しかし香り成分はダイレクトに、それらがつかさどる場所にアプローチすることができる特別な存在であることがわかります。これらの香りを活用することで、より健康的な生活へ近づくことができます。

 

心身のトラブル解消に役立つ自然療法(アロマテラピー)

 香りが脳に直接伝わることで、私たちの体に影響を与えることはご紹介しました。

それでは、実際に自分にとって良い刺激を与えるためにはどのような方法があるのでしょうか。おすすめの方法は、アロマテラピーです。芳香療法とも呼ばれるアロマテラピーは、その名の通り香り=芳香をつかって心身のトラブルに対処する自然療法の一つです。

具体的に見てみましょう。

アロマテラピーでは、一般的に精油と呼ばれる植物から抽出したエッセンスを使って香りを楽しみます。精油を取り出すには、いろいろな方法がありますが、どれも植物が生み出す芳香性化学物質を凝縮させたものです。少量でもかなり濃度が高いものになるので、希釈し薄めて使用します。

精油は、原料になる植物によってさまざまな種類があり、含まれる物質も変わります。例えば、真正ラベンダーの精油は神経の興奮を沈め、リラックスさせてくれる作用があります。

一方、ローズマリーは脳の働きを活発にし、集中力を高めすっきりさせてくれます。

寝つく前にはラベンダーのような鎮静作用のある精油を使い、朝目覚めた後はすっきりと目覚めさせてくれる精油を使うよう、目的によって使い分けることができます。

こういった精油の特徴をうまく活用することで、自分ではコントロールするのが難しい体調のコントロールの手助けになってくれるのがアロマテラピーです。

 

精油が体へ届く別のルートとは

 精油の香りが鼻から脳へ直接届けられるのとは違う、芳香成分が体に影響を与えるルートがあります。

体に塗布することで皮膚から吸収されるルート

精油はアロマトリートメントで使われるトリートメントオイルのように、適正な割合で希釈されたものを使います。肌に塗られた芳香成分は、そのまま吸収され血液中に届きます。

また、精油には殺菌作用を持つものがあり、ニキビなど皮膚上で起こるトラブルの改善にも役立ちます。

鼻から呼吸とともに肺へ伝わり、血液中へと流れるルート

これらのルートは、どれも最終的に血液に届き、血液とともに体内をめぐることになります。

精油の中には、筋肉の炎症を抑えたり、ホルモンの代わりのような働きをする物質が含まれていることもあります。このように、アロマテラピーでは血液に含まれ体内のいろいろな臓器に働きかけることもできます。

 

自律神経と精油の関係

自律神経という言葉を聞いたことはありますか?

私たちの体には、自分の意志とは関係なく自ら働くことで健康を支えている2種類の自律神経があります。

例えば、運動をしたときに心拍数が上がったり、緊張すると手に汗が出てくるといった反応は、私たちが意識をして行っていることではありません。これはストレスを受けたときにそのストレスに対抗しようとする交感神経の働きです。

一方、リラックスした時に働きやすくなる神経が副交感神経です。

副交感神経は、消化器官の働きを活発にするなど交感神経とは違う役割を持っていて、この2つの神経がバランスよく動くことで、私たちの体はうまく機能しています。

精油には、それぞれ交感神経を刺激するものと、副交感神経を刺激するものがあります。

先ほどご紹介したラベンダーは副交感神経を刺激するため、副交感神経の働きである発汗を抑える作用や肝臓の動きを良くしてくれる作用があります。

私たちは日常的に、さまざまなストレスにさらされています。人はストレスを感じると、それに対抗するため交感神経を活発にさせます。活発なった交感神経は、心臓の動きを速め心拍数をあげたり、消化器官の働きを抑制し、消化を悪くさせたりします。

必要なときに働いてくれるのはよいのですが、ストレスにさらされ続けていると、ずっと交感神経が働きっぱなしになるため、かえって不眠や消化不良などのトラブルを引き起こす場合があります。

副交感神経を刺激する精油には真正ラベンダーやマジョラムがおすすめです。また、オレンジスイートは自律神経のバランスを整える作用があり、日常的に取り入れてみるとよいでしょう。

 

血行を良くしてトラブル改善

 アロマテラピーで使われる精油の多くは、血行を促進させる作用があります。

血行が悪くなると、細胞の隅々まで栄養や酸素が行き届かなくなったり、不要な毒素が排泄できなくなります。血行が悪くなることで、冷え性や肩こりといったトラブルに悩まされている方も多いのではないでしょうか。そういったときに、精油を使った芳香療法は大変便利です。

冷え性におすすめの精油はオレンジスイートやレモンなどのかんきつ系の香りのほか、ラベンダーやマジョラムのようなリラックスさせてくれる香りも向いています。ディフューザーを使ったり、アロマバスにして体を温めながら香りを楽しむとよいでしょう。

 

風邪やインフルエンザ予防に香りを活用しよう

 冬になると、毎年話題になるインフルエンザも、アロマテラピーで簡単な予防をすることができます。精油の中には、殺菌作用や抗ウィルス作用のあるものがあります。医学的な薬にはなりませんが、自身の免疫力を高め、普段から体内に侵入してくるウィルスに対抗して予防することができます。

おすすめの香りはティートリーやユーカリラディアタ、レモンやペパーミントなどです。ルームスプレーや、ディヒューザーを使って香りを活用してみましょう。

また、アロマテラピーは、複合的な役割を果たす点がメリットと言われています。予防をしながらも、香りを楽しむことで気持ちが明るくなれたり、すっきりした気分に気持ちを持って行けるというように心理的な面にも期待できます。

 

高齢者のケアにアロマが活用できる?

 高齢者のケアで、よく問題にされるのが認知症です。

画期的な治療法もなく、介護をする側にとっても負担が大きいため、まず予防をすることの大切さをだれもが感じているのではないでしょうか。

実は、認知症の予防にアロマテラピーが活用できるのではないかと研究が進んでいます。認知症は、脳の中でも嗅神経の衰えから始まると考えられています。

嗅神経のそばには海馬があり、嗅神経の衰えが海馬の衰えにつながっていくとすれば、まず嗅神経を刺激することで普段から嗅神経や海馬を活発にさせることができる可能性があります。

また、人は年齢を重ねると体内時計の乱れが起きてくるといわれています。気温を感じる感覚が鈍くなったり、時間を感じ取る感覚が衰えるという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。そこで、香りを使って嗅神経を刺激しながら時間間隔を取り戻すことも、認知症の予防にプラスに働くといわれています。

具体的には、朝の香りと夜の香りを設定し、朝の決まった時間に朝の香り、夜の決まった時間に夜の香りをかいでもらうことで脳に時間の感覚を覚えさせるという方法です。

特によいとされている香りは、朝の香りにローズマリーやレモンといったすっきりと目を覚まさせてくれる香り、夜の香りにはラベンダーやオレンジスイートなどリラックスさせてくれる香りを使うことです。

また、夜にこれらの香りをかいでから寝た高齢者のほうが、眠りの質がよくなったという話もあります。高齢者の様子を見て、時間のメリハリがなくなったと感じるときは試してみるとよいでしょう。

 

香りで健康をデザインする

 普段意識することのない香りが、実は私たちの健康に大きな影響を持っています。特によい点は、自分の意志ではんどうすることもできない体の仕組みに対して、直接香りが働きかけてくれるという点です。

現在アロマテラピーで使われている精油の種類は多く、最近では和精油など新しい香りの活用も始まっています。

使い方もシンプルで、ディヒューザーで香りを楽しむだけでもおすすめです。もしディヒューザーがない場合は、電子レンジで温めたお湯に、精油を23滴たらしてみましょう。それだけでも、少しの間香りを漂わせ、楽しむことができるでしょう。

その時々の体調や気分に合わせた香りで、より心身を良い方向へ導くことができます。香りを使って自身の健康に新しいアプローチをしてみませんか。

 

 

 

 

 

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