グレープフルーツの香りがダイエットに良い?
ビタミンたっぷりでおいしいフルーツ、グレープフルーツですが、アロマテラピーの世界でも人気のある香りです。
レモンのようなさわやかさとすがすがしさを与えてくれるグレープフルーツの香りは、気持ちを明るくさせたり、血行を良くして冷え性の改善に役立つ精油として知られています。
そんなグレープフルーツの香りが、私たちのダイエットにも役に立つのではないかという研究が進んでいます。
一体どういうことなのでしょうか。
香りが体に影響を与えるメカニズム
アロマテラピーで使用する精油に限らず、香りは私たちの鼻の奥にある嗅上皮から嗅細胞に伝わります。
そこで、電気信号へと変換され直接脳に情報が送られるようになっています。
脳に伝わった香りの情報は、大脳辺縁系という脳の中でも生命活動に深くかかわる部分に伝わります。
そのため記憶や情動のほか、食欲といった本能的な部分、ホルモンの働きや自律神経、呼吸などさまざまな部分に影響を与えることができます。
香りが感情面にも作用し、食欲など本能的な欲求とも結びついていることを実感できる例があります。
においを感じられない状態で、食事をしても味がわからないという話は有名です。
それほど匂いは、私たちの感覚にも大きな影響を与えていると言えます。
グレープフルーツの香りの特徴
それでは、グレープフルーツの香りが持っている特徴についてご紹介します。
グレープフルーツの精油は、ミカン科の植物であるグレープフルーツの果皮から抽出したものです。
香りの特徴は、さわやかな香りの中に他の柑橘類にはあまり感じられない苦みがある点です。
このスパイシーなアクセントによって、力強い印象の香りになっています。
心理的にも気持ちをリフレッシュさせ、前向きにしてくれる作用や、積極性、やる気といった気力を呼び起こしてくれる香りと言われています。
成分の中心は、リモネン、α–ピネン、ヌートカトンなどが中心となっています。
このリモネンや、α―ピネンといった成分は血行の促進作用がある代表的な成分です。
また血液だけでなく、リンパ液の循環も促してくれるため、体のむくみを取って水分バランスを整えてくれることでも知られています。
さらに殺菌作用もあるため、肌ケアに取り入れることでデオドラント作用にも役立ちます。
使用する際の注意点としては、紫外線に当たることで肌に炎症を引き起こす可能性があります。
アロマトリートメントやスキンケアでの使用はもちろん、アロマバスでの利用の際も注意が必要です。
またヌートカトンというケトン類の成分は刺激が強く、敏感肌の方にはトラブルの原因になることもあるため心当たりのある方は量を控えめにするとよいでしょう。
グレープフルーツの香りがダイエットにおすすめの理由
それでは、グレープフルーツの香りがダイエットに良いといわれる理由について考えてみましょう。
その理由は一つではなくいろいろな作用が相互的にかかわっています。
ひとつずつご紹介していきます。
リンパ液の循環を促す香り
グレープフルーツ油の特徴でご紹介したように、この香りには体内のリンパ液の循環を促してくれる作用があります。
リンパ液とは血管の横に沿って流れている体液のことです。
毛細血管からしみだした血漿が、組織液として体内を循環し、老廃物の排泄や私たちの体を守る免疫システムとして働いています。
体の中にはリンパ液の大きな交差点のような部分、リンパ節があります。
ここでリンパ液の中の細菌やウィルスを除外したり、抗体や白血球を作ることで体を守っています。
これらの水分循環が滞ると、免疫機能の低下につながる以外にもダイエットに良くない影響が出ます。
ひとつは老廃物の排泄が滞り、デトックスしにくい「出せないからだ」になってしまうことです。
もう一つは水分がたまることによっておこる、むくみの問題です。
グレープフルーツはリンパ液の循環を促すことで老廃物は出しやすくし、むくみの改善に役立ってくれる香りということが言えるでしょう。
リンパ液の流れは、とりわけリンパ節で滞りがちになります。
ひざの裏や鼠径部、わきの下のあたりなどをグレープフルーツ油を使ってマッサージすることで、より循環の良いすっきりとした体形につなげることができるでしょう。
グレープフルーツの自律神経の活性化作用
香りが脳へ届くことによって、私たちの意志ではコントロールできない自律神経へ影響を与えることができます。
グレープフルーツの香りは、特に自律神経を刺激し活性化してくれる香りです。
私たちの体には多くの脂肪細胞があり、エネルギーの貯蔵庫としての役割を持っています。
特に白色脂肪細胞という脂肪細胞は、余分なカロリーを蓄積する働きを持っているのに対し、褐色脂肪細胞は熱を生み出し、体温を維持したりエネルギーを消費する役割を持っています。
褐色脂肪細胞派が活性化することは基礎代謝をあげることにつながるということがわかります。
一方、白色脂肪細胞は余剰のカロリーを蓄積し、特にエネルギーが不足していると感じたときに貯めている脂肪をグリセロールと遊離脂肪酸という物質に分解します。
これらはそれぞれの過程でエネルギーとして使われ、脂肪が燃焼されていきます。
この過程での香りの働きを見てみます。
グレープフルーツ油は、自律神経の中でも交感神経を活性化させてくれます。
活性化された交感神経の働きによって白色脂肪細胞のグリセロールと脂肪酸の分解が促進され、褐色脂肪細胞の熱生産が活性化されます。
こうしてグレープフルーツの香りをかぐだけで、体内の脂肪分解のシステムが活性化されていきます。
グレープフルーツの香りで食欲が収まる
アロマテラピーが盛んに研究される以前から、グレープフルーツの香りをかぐと満足感がえられ、食欲が落ちるという話が伝わっていました。
実際に、グレープフルーツの香りは私たちの自律神経の内でも交感神経を活性化させ、副交感神経の働きを抑える作用があります。
副交感神経は活性化することで胃腸の働きを促進し、食欲の増進につながる役割を持っています。
そこでグレープフルーツの香りで抑制された副交感神経の働きにより、自然と食欲が落ちる仕組みになっています。
またグレープフルーツの香りは心理的にはリフレッシュや精神の安定につながるため、食欲が落ちても不快な気分にならず満足感を持ったまま腹八分目を実現できる香りと言えます。
グレープフルーツが肝臓を元気に
グレープフルーツの香りがもたらす体への影響として、肝臓の強壮作用があげられます。
肝臓は沈黙の臓器という言い方もありますが、普段あまり意識することのない臓器のひとつです。
しかし、その役割は実に多岐にわたっていて、私たちの健康にはなくてはならない大切な臓器でもあります。
肝臓の働きについて一例をあげてみましょう。
肝臓では私たちに必要な栄養分の貯蔵や生産が行われています。
またアルコールなどに代表される不必要な老廃物の処理や、腸内の脂肪の消化を助ける胆汁の生産も肝臓の役割です。
これらの働きも肝臓の役割のほんの一部にすぎません。
肝臓はあまりにもたくさんの働きを担当しているため、肝臓が占める基礎代謝の割合は3割近くになるという話もあります。
つまり、肝臓の働きを活発にすることができれば基礎代謝が上がり、逆に肝臓の動きが鈍くなると基礎代謝量が減ることにつながります。
グレープフルーツの香りはこうした肝臓の働きを活発にし、肝臓を強くしてくれる作用があるため、基礎代謝をあげるとともに、老廃物の排泄や脂肪の消化にもつながり、ダイエットに良い働きをしてくれることがわかります。
ヌートカトンの力に注目
グレープフルーツの香りに含まれているヌートカトンという成分が注目を集めています。
ヌートカトンによる働きは、まだすべてが解明されたわけではありません。
しかし、近年の研究でヌートカトンには人の運動能力を向上させたり、運動後の疲労感を和らげる働きがあるのではないかということがわかってきました。
ダイエットに欠かせない運動ですが、その効果アップにはグレープフルーツの香りが重要な手助けをしてくれるかもしれません。
また、ヌートカトンを使ったマウスの実験では体内で中性脂肪を作る過程を阻害することで中性脂肪ができにくくなったという結果も出ています。
これらの研究が進めば、グレープフルーツの香りが持つ働きがより解明されていくことになるでしょう。
グレープフルーツと一緒に使いたい精油
ここまでグレープフルーツの香りを中心に見てきましたが、より効果を高めるために一緒に使いたい精油をご紹介します。
まずご紹介したい精油はサイプレスとジュニパーです。
どちらもヒノキ科の精油で、グレープフルーツよりもさわやかで涼しい感覚のある香りです。
どちらの精油も血行促進作用と、リンパ液の循環を促進してくれる香りになるので、グレープフルーツと使うことによって相乗効果を期待することができるでしょう。
またジュニパーは解毒の精油とも呼ばれ、体内の水分バランスを整えたり、腎臓の働きにも作用するため、水太りを気にしている方にはおすすめの精油といえます。
続いて、ローズマリー・カンファ―をご紹介します。
ローズマリーの精油には、いくつか種類がありますがその中でもローズマリー・カンファ―はグレープフルーツと同じように交感神経を活性化し、肝臓強壮の働きを持っています。
合わせて使うことで、より体の機能を高め脂肪を燃やしやすい体に近づける手助けをしてくれるのではないでしょうか。
グレープフルーツ油を使ったセルフケア
それでは、グレープフルーツの精油を使った自宅でできるセルフケアの方法を見てみましょう。
まずはグレープフルーツの香りで自律神経に働きかけられるように芳香浴で楽しみましょう。
簡単な芳香浴の仕方はディフューザーやアロマポットを使って香りをくゆらす方法です。
自宅にこれらの器材がない場合は、湯桶にお湯をはって、精油を2,3滴たらします。
それだけでも湯気とともに立ち上る香りを楽しむことができるでしょう。
続いて、アロマバスはいかがでしょうか。
お湯とともに皮膚からも精油成分を吸収することができるため、血行促進や肝臓の強壮などにもおすすめです。
はちみつやキャリアオイル、または牛乳を希釈材に使うとよいでしょう。
希釈剤大さじ2杯に、精油を3~4滴混ぜて、お湯に入れて使います。
次にトリートメントオイルを作ります。
グレープフルーツの精油は紫外線によって肌の炎症を引き起こす可能性があります。
紫外線を浴びる可能性があるときは使用をやめましょう。
キャリアオイル50mlに対し、精油を2~3滴加えます。
サイプレスやローズマリーオイルをブレンドしてもよいでしょう。
トリートメントは、リンパ液を流すように末端から中心に向かってなでるように行います。
セルライトなどの気になる部分は、オイルをもみこむようにするとよいでしょう。
香りをボディメイキングのきっかけに
アロマテラピーは自分の持っている力を高めてくれる香りの利用法です。
グレープフルーツの香りも直接脂肪を溶かしてくれる薬になるわけではなく、体を活性化させ燃焼する力の手助けをしてくれるものにすぎません。
しかしグレープフルーツの香りをかいだ時の、うきうきとした気持ちはどうでしょうか。
アロマテラピーの良いところは、このような心理的な作用も期待できる点です。
ダイエットはつらいものと考えてしまいがちですが、グレープフルーツの香りを励ましにすれば生活習慣を見直すきっかけになるのではないでしょうか。
楽しみを持ってダイエットやボディコントロールを始めてみてはいかがでしょうか。